「……むぐ……ん………からーげ追加」
「はいはい、もうつくってあるよ」
準備がいいじゃないか。
私はうんうんと首を動かしながら皿に残っていた最後の唐揚げにフォークをぶっさした。
「で、何でまたいきなり海に?」
腹も満たされ大満足の私は、上機嫌に大地たちへ質問をする。
するとハジメがあからさまに驚いた顔をする。
「俺達の話聞いてたの?てっきり他の事に夢中になって耳に入ってないのかと思ってたんだけど」
「聞いてはいたよ?ただ右から左に抜けてただけで」
「それを世間では話を聞いてないって言うんだ」
ボソッと呟く大地の言葉はもちろん無視だ。
それにしても海なんていつぶりだろ。去年は絶対に行ってないから少なくとも1年ぶりか。
「場所は沖縄だから。あ、日焼け止めは持参してね」
意味もなくウインクしながら説明をするハジメに「ふーん」とうなずきながら返す。
「そー言えば、雅彦さんは沖縄にいったことあんの?あるならいいスポットとかない?」
「沖縄かぁ。残念なことに行ったことはないんだよ。お役にたてなくてすまんね」
ハジメの言葉にカウンターにいたマスターが苦笑しながらこちらに顔を向ける。
雅彦さんって名前なのか………………!?

