「つまらないなら、これをやる」
すっと差し出されたのは飴ちゃんだった。
「飴ちゃん?くれるの?」
「あぁ」
「ありがとう!!」
包みを剥ぎ取って飴ちゃんを口にほおりこむ。
「コーラか?」」
「ソーダ味だ」
「!」
驚愕。という顔をすると真顔で「味覚、大丈夫か?」と聞かれたから「美味いかまずいかのちがいだ」っと言ったらもの凄く可哀相なもの見る目をされた。
「他に何かないのか?」
「……食い物はないが手遊びなら教えてやれる」
「手遊び……!」
この退屈な生活から抜け出せる。きっと今の私の目は、まさにキラキラしているだろう。
「なに?なにがあるんだ?」
「わかった。そうつめよるな。さくは相変わらず落ち着きがあるようでないな」
その言葉に目をぱちぱちする。さく?私のことか?“さくら”だから、“さく”でもおかしくない。
待てよ?この顔。どこか見覚えがある。
鼻と鼻がくっつきそうなくらい顔を近づけてジーーっと凝視する。
さく……。さく、さく、さく……――――――――!
「師匠!?」
そうだ!師匠だ!
私の言葉を聞いて師匠はこれでもかと言うくらい目を見開く。
「俺がわかるのか?」
「なにいっんの、師匠!!師匠と番長にしか“さく”なんて呼ぶ人いないから覚えてるきまってる!忘れてたけど!」
そう。この人は私の師・木島日向先輩だ。
私は中学の時、弓道部と美術部を掛け持ちしていたのだが師匠は弓道部の部長だった。
美術部は課題の提出まじかになると弓道部の方に顔が出せなくなるので、部長である師匠には目茶苦茶お世話になったのだ。

