『…あ………あ…』
二人組の女の片割れはその言葉を聞いた瞬間、真っ青な顔になり小さな声をもらす。
『っ!?確かに、そこの子供は打ったけど他には何もしてないわ。天王寺様だってそんな、子供一人で動きはしないわよ』
『そんな……ねぇ』
このヒステリック女。馬鹿なんじゃない?
私はクスッと笑った後、雪治を立ち上がらせ異常な程震えているその手をギュッと握った。
―――大丈夫。わたしがいる。
そう念じながら。
『まあ、いいわ。おばさんさ、わたしにここまでけがをさせた事。わすれてんじゃないの?』
『貴女が勝手にこけたんじゃない。私は何もしてないわ。第一、証拠がないじゃない』
ここまできても逃きれると思っているのか、この女。
証拠もなにも目撃者はあんたが手を挙げた雪治だけどね。
まあ、いいさ。この程度、口でどーにかなる。
『ば『馬鹿だね。あんた』
わたしが言おうとした言葉は呆気なく横から入ってきた黒髪の男の子に取られる。
『そんなに証拠が欲しいなら。これなんて…どう?』
そう言いながら、男の子はヒステリック女に携帯の画面を見せる。
すると、女は先程の自信満々の表情が消え一気に青くなる。
『こ、これは……!』
笑える程ガタガタと目に見えて震えだす女を見て何となく状況を理解する。
『おいおい、これは一体何の騒ぎだぁ?』

