「戸崎が動きだすのは11月。細かい日にちはまだ分かっていませんが恐らく16日だと思います」
やっぱり被せてくる可能性が高いか。となるとやっぱり……。
「紫苑からはこう。"一月、参加確定"」
「…だろうな。天王寺家全体が関わってくるわけではないんだな?」
「まあ、そうなるな。あくまで、天王寺一月としての参加らしい。それともう一つ。"天王寺桜は参加しない"だ、そうだ」
「じゃあ、雪治クンが出てくることもないね。この二人が参加しないってことは同時に李音自体が動かないって事でいいのかな?」
「あぁ、それでいい」
これは、都合が良いな。李音が参加しない事で怪我人がすぐ回復することはない。
「あぁあ、それにしても久しぶりの大きな喧嘩だから血が騒ぐねぇ」
普段は見せないギラギラと光った目で前を見つめる創はさながら野獣そのものだ。
「あまり、やり過ぎるなよ」
創をじっと見ながら言うとあからさまに不服そうに顔をしかめる。
「桜は、参加はしないが"後片付け"には出てくるだろうからな。」
「…………ぷっ、アハハハ!! 大ちゃんはほんっとうに桜ちゃんに甘い――んぐ」
「ハジメ。桜さんが起きてしまうので静かにしてくださいね。大地も、私が押さえましたから手を下ろしてください」
悠李の言葉にあげた拳を下ろし、桜の方に視線を向ける。
「…スー……スー……」
よかった。起きてないな。
寝ているのを確認しすぐに創達の方に視線を戻す。
「そういえば、紫苑もおたふく風邪なのによく頑張ってくれたよね。治ったら労ってあげないといけないね……ああ、面倒」
「は?紫苑のは仮病だろ?」
「え?ちょっと大ちゃん。今いったことマジ?」
「嘘をつく必要性を感じないな」

