俺と悠李の反応を見て剣輔が戸惑いがちに口を開いた。
そうか。剣輔は中学の頃の桜を知らないんだったな。
「あ、因みに俺も知らないからね〜。桜ちゃんの事は話しと写真でしか情報なかったし
左手をヒラヒラと振りながら挙げる創を見て目を細める。
確かに、あの件には黒狼は関わっていなかったからな。しかもまだ創が黒狼のトップになる前だったからこの二人が知らないのは無理はないか。
創や剣輔にかかわらず、壱哉に南・紫苑も中学時代の桜を知らない。
「昔の桜さんと面識があるのは私と大地。それと、木島先輩と赤城先輩の四人ですかね」
「まぁ……そうだね。俺は親同士が友達ってだけで会ったことないし。いや、正式には会えなかったかな?」
ハハハと笑いながら言う創に視線だけ向ける。
「うん?もしかして、"あの事件"の事を聞きたいの?知っているだろうけど俺は何も分からないよ。海斗-カイト-さんが何を考えていたかなんて、俺にわかるわけないでしょ?」
「そんな事は聞いてない」
あいつの名前が出てきた事で眉間にシワが寄る。それと同時に声のトーンが数段低くなったのが分かった。
剣輔の方から息を呑む気配がし、創は「怖いねぇ」なんていいながら肩をすぼめ両手を軽く上げた。
その姿がどこと無くアイツに似ているきがして、創から視線を外す。イライラする心を落ち着かせるため酒をぐっとあおる。

