「先に進もなにも今の私が全てなのになぁ?」
タマキに問いかけるとなんとも間延びした返事が返ってきた。
か、かわいい……!
私は思わずタマキの背中に顔を押し付けた。
暖かい。太陽の匂いがする。
立ち止まり辺りを見回すと良い感じの場所にベンチがあったのでそこに座る。
タマキを膝にのせ毛並みにそって撫でると気持ち良さそうに体を丸めた。
こいつ、寝る気だな。
苦笑いしながらもそのまま撫でつづける。
「時間に過去や未来はない。あるのは今だけ」
過去や未来なんてあってないようなモノだ。全ては"今"。
我ながらひねくれた考え方だよ、まったく。
そんな事を考えてると自然と頬が緩んだ。
未来や過去に夢を持つのは、アタマの中の空白が埋まってからだ。
それまでは、今を全力で生きる。
なあ、輪廻。お前は私の言った言葉が理解できたか?できたなら私にも教えてくれよ。
――私が正気であるのなら話だけどな――――

