心地好い風に無駄に長い髪が踊る。はっきり言って顔にあたって邪魔だ。
切ってしまおうか。いや、なんかもったいないからいいや。
頭の中で自問自答しながら寮へと繋がる道をタマキと歩く。
ちなみにタマキとは、先程の白い猫である。輪廻は一月の猫だと言っているが私の猫だ。
私が拾ってきた猫を一月が勝手に奪って自分のだのとざれ言を言い触らしてるだけだ。
タマキだって本当の飼い主である私に懐いている。
家にいたときは毎日一緒に寝たし、肉球だって一月が触ると怒るが私が触っても嫌がらない。むしろきもちよさそうにしてるし。
「お前の主は私だよね」
私がそう聞くと返事をするように「にゃあ!」と可愛く鳴くので、私も笑顔で返す。
そんな幸せに浸っていると先程の輪廻とのやり取りを思い出す。
――いつまでそう頑なでいるつもりだ。過去に囚われていても先には進めないぞ。――

