輪廻sid―…―…―…―…―…―…―…―…―…
「ちょ、ちょっと待て!お前、その猫って…」
俺は慌てて部屋を出ていく桜をとめる。
「あ?」
めんどくさそうにこちらを見る桜に眉をハの字にして口を開く。
「その白いのたしか一月のだろうが」
「やられたら10倍にして返す。私に変な事を命令した時点であいつは私の………敵だ!」
今までと何が違う。
バタンと閉められた扉を呆れながら見つめる。
あいつがなにを考え動いているのかますます分からなくなっていく。元々が分かりにくいくせに更に被せてくるとわ。
現状、桜にあの時の記憶が無いのかさえ分からない状態だ。忘れた振りをしているだけなのか。それとも、聡い子だから記憶はないが感づいてるのかもしれない。
まぁ、どれにしても早いとこ何とかしないとヤバい…か。
「なぁ、一体どうすればいいんだ?」
俺は窓をあけ、空を写す。
あいつの母親と同じ名前のソラ。
こんなことしても意味が無いことは分かっている。でも、自然と口が動いた。
「空さん。俺は、桜に記憶がないならこのままの方がいいと思うんだ。だってそうだろ?あいつは今までに無いほど安定してるんだぜ?なのにどーして無理に思い出させる必要があるんだ?それに………今は大地もいる。あいつらはやっぱり――っ!」
………なにしてんだ、俺は。

