生徒玄関は伊東の後ろの方にあるので、


梓は伊東の前を通りすぎた…




ら、




「梓っ」




「え?」




伊東は梓の腕を掴み、手を繋いだ。




な、何……?



梓はハテナマークを浮かべ、伊東を見上げると、ニコッと優しく微笑み返された。



そして、




「送ってく」




包み込むように甘く言われた。



そんな綺麗な顔でそんな事言われたら、断れないじゃない。



梓は珍しく素直になった。




失恋すると、誰かに寄り添っていたくなる。



……私ってこんなに乙女チックだったっけ?