鏡の中の自分を見るのは、あんまり好きじゃない。 ドングリ眼に低い鼻。 大きな口。 寝癖を直したって、やっぱり毛先は跳ねてるし。 ふと、昨日の彼女を思い出す。 あんなに綺麗だったら、きっと鏡を見るのも楽しいだろう。 唯一勝てそうなのは身長くらいか。 「や、でも人間は中身が大事だよね‥‥」 うんうん。 自分の意見に同意して頷く。 いくら美人でも、性格悪くっちゃね。 手の甲の痕はすっかり消えていた 。