写真を撮って、と頼む凉の声。 カメラを手にしている私にとって、それは当然のことで。 断る理由もないし、断れない。 私は二人の前に移動して、カメラを構えた。 「はい、じゃあ笑ってくださーい。」 レンズ越しにみえる二人の姿。 それは本当にお姫様と王子様のようで、悲しくなった。 私が凉の隣にならんでもそんな風に映らないことは、痛いほどわかっているから。 人に笑えと言っておきながら、一番笑えてないのは私で。