「ありがと!…さすがだね、私の好みわかってる。」 「そりゃね。好きな人の好みくらい把握してる。」 さらっとそういうこと言ってしまう坂本はずるいと思う。 私たちは近くのベンチに腰かけた。 もう暗くなっているし、やっぱり寒い。 「ごめんね、こんな寒い中呼び出して。」 「いいよ、なんか言いたいことあったんだろ?」 思えば、いつだって坂本はこうやって話を聞いてくれた。 今日みたいに突然呼び出したときも真っ直ぐに駆けつけてくれて。