「ただいま」

旅館に帰ると傷だらけの慧が祥に手当てされていた。

「おかえり佳音。そっちまでたどり着けなくてごめん」

「大丈夫だよ」

あたしはそう言って微笑んだけれど、内心早く休みたくてしょうがない。

「佳音大丈夫?その様子だとまた霊力の消費が半端じゃないみたいだね」

慧は申し訳なさそうにそういうと、布団を敷いてくれる。

「あ、ごめん慧・・・」

慧も傷だらけなのにあたしのことばっか考えて・・・。

「佳音ちゃん、顔色悪いよ。早く休んで」

光君もそう言って布団のある奥の部屋へと誘導してくれた。

「慧、光君。ありがとう」

あたしはそういうとそっと布団の中に潜り込む。

瞼を閉じてすぐ、あたしは眠りについた。


・・・

「ん・・・」

「あ、佳音ちゃんおはよ。ご飯きたけどどうする?」

「ご飯はいいや・・・。お風呂入ろうかな」

あたしがそういうと、光君は心配そうにあたしの顔を覗きこむ。

「大丈夫?具合悪い?」

「ううん。違うの。ただ、さっきまで寝てからかな?食欲がないだけ」

「そう?ならいいけど・・・」

そう言って微笑んだ光君にあたしも微笑み返すと、お風呂セットをもって大浴場に向かった。