佳き日に




「梔子ってのは植物だよな。」

「そーなんだ。」

雪は少しの間考え込む。

そして唐突に閃いたのだろう。
カッと目を見開いた。

「梔子は話せないのか?」


例えるならば。
エレベーターの中で知らない人と一緒に乗ったときのあの空気。
妙な沈黙が車の中に漂う。

「梔子と、口無し・・・。」

「・・・。」

「寒い。」

「酸素が勿体ないから琴は黙ってろ。」

理不尽だ。

琴はそう思いながら今度こそ音楽を流し始めた。