佳き日に


[5]


大特価。半額。
本日限り。

こんなにたくさんの宣伝で溢れかえっていたら、客も何を買えば得するのか分からなくなってしまうだろう。
スーパーの一角をじっくりと観察しながら閏はそう思った。
視界の端にはしっかりと柳琥珀の姿を入れていた。
彼女の隣にいる女性は誰なのだろうか。
買い物に悩んでいるフリをして、2、3枚彼女の写真を撮っておく。
後で身元を調べなければ。



「なんでもいいから大量に買ってきてくれ。」

雪から頼まれたことは意外にも買い物だった。
何でもいいからとは、なんてアバウトな。

「もうちょっと絞り込んでください。」

「・・・空から降ってきたら驚くもの?」

ますます困る。
空から降ってきたら驚くものなんて世の中にたくさんある。
困惑する閏の後ろで琴はのんきに歌い出した。

「あの地ー平ー線ー♫」

ラピュタは空から女の子ですね。
琴の思考が閏にはすぐに分かった。

僕にアドバイスする気はゼロですか、と少しキッとした表情で琴に目を向ける。
が、全く効果はなかった。

「豚が空を飛ぶって話もあったな。」

雪までわけのわからないことを言い出した。

「飛べない豚はただの豚。」

「飛んだとしても豚は豚だけどな。」

まさにフリーダム。
閏はもうどうやってこの会話に収集をつければいいのか。

「とりあえず、頼んだ。」

結局具体的な指定はせずに十万円渡された。