佳き日に




桔梗と鉛丹の読みは当たっていた。

赤い女の格好をしていたが、琥珀自身は注意すべき人物ではない。
琥珀があの三人のうちの誰と接触して、囮として使われたのか。
それを調べるため桔梗は琥珀の記憶を盗もうと試みた。

盗む記憶を指定することは出来ないが、なにかヒントは見つけられるかもしれない。

しかし、三秒以上見つめても盗めない。


「な、なに?」

いきなり見つめられて、困惑したように琥珀が聞いてくる。


「いや・・・琥珀さんって、コンタクトレンズしてます?」

「あー、うん。してるよ。目が悪くてね。」

この場合重要なのは、メモリーズ対策としてコンタクトをしてるのか。
それとも、本当に目が悪くてコンタクトをしているのか。

琥珀の様子は嘘をついているようではない。
その後鉛丹が雨さんについて知っているかと質問したが、少し笑って、知らない、と答えられた。

さっきのファミレスでのやりとりを思い出していると、桔梗の電話が鳴った。
着信で、椿からだ。


「椿か?」

鉛丹の問いに首を縦に振り桔梗は電話に出る。


「はい。桔梗です。」

『桔梗?鉛丹もそこにいる?』

「いますよ。」

『そう。じゃあ簡潔に言うわ。しばらく動かないでほしい。』

「それは・・・あの三人を野放しにしておけ、ということですか?」

桔梗の言葉を聞き、椿らしくねぇな、と鉛丹が呟いた。
桔梗も同感だ。

自分たちの身が危ないというのに、何もしないなんて馬鹿げている。