[2]
桔梗と鉛丹は琥珀と別れた後に二ヶ月間放置されていたあの家に戻った。
二人の顔色は晴れない。
鉛丹は仕事道具の銃を黙々と手入れしている。
どこかイライラしている感じだ。
桔梗はさっきからずっと耳に携帯を当てている。
電話がらないようで一つため息をつき、携帯を離す。
「椿さん、誰かと話しているようで電話にでてくれません。」
桔梗の言葉に、鉛丹は更に顔を渋くさせる。
「まぁ、今はあの三人についての情報が飛び交っているから椿も忙しいんだろーよ。」
二人を悩ませていたのは琥珀との食事中にきたメールの内容だった。
菘からで、めったにメールしてこない女なはずなのに、と不思議に思い内容を読んだら、愕然とした。
“閏、琴、雪の三人が警察側だった。ここは手を組もう。梔子と、灰神楽、萩の強い奴らにはもう声をかけた。一度関東に戻ってきて。“
信じられなかった。
菘が嘘とつくタイプではないのは分かってはいたが、少し疑ってしまった。
閏、琴、雪といえば、そんじょそこらのメモリーズとは格が全然違う奴らだ。
桔梗と鉛丹もその三人の誰かと対決しなければいけないような仕事は断ってきた。
“この前福島に出た赤い女ってのも、その三人がうちらメモリーズをおびき寄せるための囮だったみたい。“
いくつか改行した後の菘の文章には納得がいった。
チラリ、と顔を上げれば幸せそうな顔でドリアをほおばる琥珀がいる。


