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「頼みたいことがある。」
数十分前、雪は突然そう言ってきた。
エナカはなんとなく記憶を辿る。
その時確かエナカはポカンとしていた気がする。
ホットミルクを飲み終わったカップを洗おうと台所に行ったら、雪がいた。
何か用かと思って声をかけようとしたら、無言で小切手を押し付けられた。
見てみたら、1の後に0が八つもあった。
その金額には、さすがにエナカも呆然としたのだ。
「一億?」
「あぁ。」
偽物かと思った。
金額が金額だし、メモリーズでも銀行が使えるのか、とも思った。
「安心しろ。本物だ。」
「銀行使えるの?」
「ツテがあるんだ。」
ふーん、とエナカは唇を尖らせる。
一億。
金額が大きすぎてどうしても冗談に思えてしまう。


