動揺しているのか、と閏は思った。
雪もなんとなく理解したのだろう。
桔梗の代わりに誰がいなくなったのかを。
「返答次第では桔梗を殺すぞ。」
車内の空気が一気に冷たくなった。
エナカが息を飲んだのが分かる。
バックミラーに映る琥珀は下を向いて唇を震わせている。
あー、これはまずいんじゃないか。
閏はほおづえをつく。
「……桔梗が生きなきゃ、報われないから。」
静まり返った車内に、琥珀の涙声が落ちた。
「ごめん。」
せき止められていたものが一気に溢れるように、琥珀の目からボタボタと涙が落ちた。
彼女の制服のスカートに黒い染みがいくつもできる。
「琴、鉛丹と一緒に死んじゃった。」
なんとかそう言い切ると、琥珀の涙はいよいよ止まらなくなった。
しゃっくりとと共に、まだあるのかと思うほど涙が溢れる。


