佳き日に





[3]






カラスは、死期が来ると分かって鳴くのか。


菘は頭上を見やる。

鬱蒼とした大木に何羽もカラスがとまっている。
ギャアギャアと無秩序に鳴く。

菘は視線を下げる。

頬に砂利が当たって痛い。
地面はヒンヤリとしていた。

目の前には、苔が生い茂り刻まれた文字さえ読めない墓石。

その時、静かな墓地には似合わない電子音が響いた。

肘を使い携帯を手繰り寄せる。


発信者は椿の最後の伝言を菘に伝えてくれた人。
人間の情報屋だ。

冷たい風が吹く。
きっとこれが最後。
菘はなんとか顔を動かし携帯に近づいた。