佳き日に






「安心したんです、茜さんが幸せだったから。」



これで、雨さんの想いも報われます。

少しの幼さを残す顔で閏は微笑んだ。


『君が幸せであれば僕はそれだけで』


最後に見た雨の紺色の言葉を思い出す。


急激に目頭が熱くなった。


エナカの知らないところで、雨の想いは受け継がれていた。

言葉にすればそれだけのこと。
たったそれだけのことだ。

だけどきっと、それは奇跡みたいなことで。


何の関係もない人が、エナカの幸せを願っていてくれた。


それが嬉しくて、切なくて、有難くて。

捨てなくてよかった。

本当に、生きていて良かった。


エナカは窓にコツンと頭をつける。
光が眩しかった。