佳き日に





「会ったことはないけど、聞いたことはある。」

「知ってたんですか。」

「うん、話だけね。」

会話に割り込むように、また白川の趣味の悪い着信音が鳴った。
今回の電話はすぐに終わった。


「追加情報で、兄弟以外もう一人のメモリーズを逃したので捜索命令が出ました。」

エナカはポケットに入れてあるせんべいが残した紙を思い出す。
そして眉を寄せた。


「なんでそんな無駄なことするわけ?」

「へ?」

「だって政府の計画通りにいけば今週末には一気にメモリーズを全滅させることが出来るんでしょ。何も今躍起になってメモリーズを殺さなくてもいいじゃん。」

エナカの言葉を白川は頷きながら聞いていた。


「おそらく政府が細菌を使うと悟らせないためでしょうね。今、武力行使でいけばこれからも同じ方法で行くと思うでしょう。よってメモリーズに襲撃されにくくなると考えたんじゃないでしょうか。」

「そんなものか。」

「そんなものです。」


そんな簡単にいくのか、とエナカは疑問に思った。