佳き日に





白川は電話に出たらすぐに声音を変えた。
固い口調で何度か相槌をうっている。


「すいませんエナカさん。仕事が入りました。」

「……あんた結局どっち側なの?」

「寂しいんですか?」

「全然。それよりも仕事って?」

「二体ほどメモリーズを片付けたみたいです。あと俺がエナカさん側に寝返ったことすぐバレるはずなんで集められるうちに情報集めておきますね。」

エナカは白川の顔をマジマジと見る。
ふざけているだけだと思っていたが、エナカの味方をするというのは本気だったようだ。


「すぐ行かなきゃいけないんで、ここで降ろしても大丈夫ですか?」

「いいよ。家ここから近いし。それより殺されたメモリーズっていうのは?」

キィッ、と車が道の端に停まる。


「多分エナカさん知らないんじゃないですかね。中学生くらいの兄弟の殺し屋です。」


兄弟。
その言葉が引っかかった。

どこかで聞いた気がする。

エナカは一瞬考え、すぐに思い出した。

スーパーで琥珀が言っていたメモリーズのことだ。