重い布団を巻きつけられ、いよいよ膝から崩れ落ちそうになる琴を、鉛丹が支えた。
鉛丹は大丈夫か、と目配せしてくる。
それに応ずることもせず、琴はただボンヤリと考えていた。
鉛丹は今日まで、何を糧に生きてきたのか。
『何かを探してこの星に生まれた』
ふいに、雨が好きだと日記に書いていた歌の一節が頭をよぎった。
何かを探して。
そしてようやく、琴はなんで自分がこんなにも鉛丹の行動を気にかけるのか納得がいった。
歌のフレーズが頭に引っかかっていたからだ。
人も、メモリーズも、動物も、皆。
何かを探して、生きているのだと思っていた。
がむしゃらに、大切な、自分にとっての一番を探して生きているのだ、と。
それが生きる理由だと思っていた。
血も繋がっていない、いわば赤の他人である桔梗を命をかけて守ろうとする鉛丹。
気絶してしまっている桔梗は、琥珀が話さない限り鉛丹の本当の想いを知らずに生きてゆくだろう。
一見、悲しい話だ。
でも、それでいいのだろう。
「琥珀、先降りろし。」
桔梗に未来を託して。
鉛丹の行動の真意を桔梗が知ることはなくても、罪人として死を迎えることになったとしても。
明るい未来を、大切な人の夢を守れれば、もう十分だったのだろう。


