佳き日に





ゆっくりと目を動かし桔梗は状況を確認している。
身体は動かないが目は動くようだ。


「おい、琥珀。」


後ろからの声に振り返れば、琴を背負った鉛丹がいた。


「奴ら、ここを爆破するらしーぞ。」

「えっ早く逃げよう。」

慌てて琥珀は立ち上がり桔梗をおぶる。
「すみません」と弱々しい桔梗の声が聞こえる。


「シャッターはさっき閉められたし。」


鉛丹の背中で白い顔をした琴がそうぼやいた。

分かってはいたが、鉛丹の腕の間からのぞく左足は太もものあたりから切断されていた。
一応布は巻かれているが、血で真っ赤に染まり元の色も分からない。


「琥珀さん。」

「ん?」

桔梗に俄かに呼びかけられた。
桔梗の声は小さかったから鉛丹と琴には聞こえていない。
わざと桔梗は小声にしたのかもしれない。

桔梗は焦ったように囁く。


「琴さん、出血量がまずいです。」

え、と琥珀は言葉に詰まった。