佳き日に






『なんで家族の方はあんなに朝早くから車に乗っていたのかしらね……。』

『娘さんの文化祭だったらしいわよ。お弁当を忘れたらしくて、それを届けるために少し早めに出発したんだとか。』

『まぁ……優しい人たちだったのね。』


トイレに行く途中、聞いてしまった親戚の会話。

心臓が、止まるかと思った。

これじゃまるで。
いや、実際そうなのだろう。
直接ではないにしろ、私が家族の死の原因なのか。

そう思うと、エナカは走って部屋に戻った。
それから声を殺して泣いて。


『死のう。』

ぐちゃぐちゃの意識の中で、その決意だけはハッキリしていた。

ひと気のない場所。
ある程度高さのあるビル。

フラフラの足取りで向かった。


「ここから先は、あんたも知ってるでしょ?」

「はい。」


白川はゆったりとしたスピードで運転してくれた。
エナカのペースで話をさせるためなのか、本意は分からない。