佳き日に





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誘導されているのは分かっていた。

されるがままになっていたら殺される。
そう、分かってはいたはずなのに琴は何もできなかった。

理由は二つ。

一つは、琴と桔梗が乗っている車は今五台の敵の車に囲まれているということ。
五対一。
分が悪すぎる。
四方全てを囲まれないようするのが精一杯だった。

そしてもう一つの理由は、隣で朦朧としている桔梗だ。
麻酔銃で撃たれたようだ。

もう使い物にならないだろうが、見捨てるわけにもいかない。

かく言う琴も足を撃たれ満足に動ける状態じゃない。
殺し屋二人いて、情けねーし、と琴は唇を噛んだ。


『発砲許可おりました。三十秒後一斉にいきます。』


元々政府の車だからか無線で相手の情報を知れるのはありがたい。

だが、無線の内容は全くありがたくなかった。

琴は冷や汗を流す。
何度目か、左から車がぶつかり琴は揺さぶられる。

目の前に見えるのは建物。
「健康ランド」とポップな文字が目に入る。