「話は戻るが、希望のある可能性のことだ。俺の母親、遥は約十年前に死んだ。」
「殺されたんですか?」
「いや、違う。俺はその頃十一歳で、遥と一緒に仕事をしていた。その時に、依頼が来たんだ。」
「どんな依頼ですか?」
「十五分だけでいいから、政府の本拠地を混乱させてくれ、と。」
「……殺しじゃないんですね。」
「騒がせるだけでいいと言われてな。政府の本拠地というリスクは大きかったが金額はなかなかだったから引き受けた。」
政府の本拠地を混乱させる。
もし、その依頼をしたのが細菌に反対していた男だったら。
十年前、雪と遥が政府を混乱させている間に、細菌を盗んでいたのだとしたら。
閏は息を飲む。
「爆竹やら花火やらをたくさん爆発させてな。あとコーラにメントス入れて政府の職員の顔に噴出させたりもした。」
「後半小学生の悪ふざけみたいになってますよ。」
「鼻にコーラ流し込まれた人は辛そうだったぞ。」
「そりゃ辛いでしょうね。」
「でも、俺らがそうやって時間を稼いでいる間に、依頼主、つまり秘密警察の男は細菌を盗んだという可能性もある。」
確かにその可能性もある。
ふと、閏は遥がどうして死んだのか気になった。


