「政府はあと五年以内に日本中のメモリーズを一人残らず殺すつもりらしい。」

そう言って雪はピーマンの肉詰めを口にいれる。
もうこれで三つ目のはずだ。
けっこう気に入ったのだろうか。

「出来るわけねーし、そんなの。」

「政府もまた無茶なこと考えますね。」

琴と閏は揃って同じようなことを口にしたが、雪はいや、と否定した。

「案外、無茶なことじゃないと思うぞ。」

「は、何でだし。数では劣るけど、メモリーズの身体能力に対抗出来る人間なんて一握りだし。」

琴の反論を聞きながら雪は四つ目のピーマンの肉詰めを口に運ぶ。

「だったら、身体的戦闘を避けて戦うんだよ、人間は。」

身体的戦闘という言葉は日本語的にあってるのかは不明だが追及はしないでおいた。

「爆弾、薬物、有毒ガス。あと二年経ったら一般人がいる建物にメモリーズが逃げ込んだとしても即時その建物を爆破するようになる。」

「まじか。」

「まじだ。」