佳き日に




閏は目を右に左に彷徨わせる。
それから、非常に言いにくそうに。

「……雪先輩が、琥珀さんを見殺しにしないか、不安です。」

「……へ?」

「いやだって、琥珀さんが殺されてから萩を殺すかもしれないじゃないですか。」

「……へ、あぁ、そう。」

「琴本当に分かってるんですか?雪先輩は琥珀さんがいつ死んでもいいと思ってるんですよ。」

「あー、確かに。雪なら見殺しくらいやりかねないし。」

閏はそうしてまた琥珀と萩の方を見る。

「……閏さぁ。」

「なんですか?」

「だいぶ絆されてるし。」

「何言ってんですか、馬鹿じゃないですか。」

いや絶対絆されてる、と琴は思った。

閏は自分では気付いてないのだろう。
それでも、以前の閏を知る琴には顕著に分かる。

世の中は弱肉強食。
力ない者は殺されるだけ、現実は甘くない。
そんな風に、薄情というか、無慈悲な男だったのだ、閏は。

「閏、変わったし。」

「はい?」

「多分良い方に変わったから気にしなくていいし。」

「そうですか。」