佳き日に


[1]



頭いいなぁ、と琥珀は素直に感心した。

桔梗が昔からやっていたという参考書を何枚かペラペラと見ながらすごい人だな、と思った。
天才とまではいかなくても、けっこう頭はいいし意欲もある。
何より、独学だけで中学の内容全てを理解したというのだからすごい。

琥珀は先生に教えてもらっても理科が出来なかったというのに。

磁力?音速?何それ?
と、分からない単元は本当に分からなかった。

「ねぇ、雪も本読んでないで見てよこれ。桔梗くん一人で参考書ここまでやったってすごいよね。」

「おかしい。」

「何が?その本が?」

「あぁ。半分以上読んだのにトマトさんどころかトマトの単語すら出てこない。」

「トマトさんは休憩中なんだよ。ねぇ、それよりも参考書。」


一週間ほど同じ家に暮らして、最初こそ戸惑ったものの、雪のこのどこかズレた性格にはもう慣れた。

そんな琥珀と雪との会話を、桔梗が目をパチクリさせて見ていた。

「なに?」

「いえ……なんでもないです。」

なんでもないと言っておきながら、桔梗は相変わらずこちらを見つめてきていた。

なんだろう、なんか、見つめられると居心地悪いな。