鉛丹が睨んでも全く無反応だ。
ムカつく。
ちなみに鉛丹も桔梗も雪と会ったのはこれが初めてだ。
今までは写真でしか見たことがない。
写真を見せられると一緒に「今、メモリーズで一番強い男だ。死にたくなかったら戦わないほうがいいぞ。」と言われてきた。
その、メモリーズで一番強いと言われている男がこの目の前のぼーっとした間抜けそうな男だなんて嘘だろ、と鉛丹は心の中で思う。
独特の雰囲気はあるが、一番強いと評されるほど強そうには見えない。
鉛丹の不躾な視線に気づいたのか、桔梗がパシリと頭を叩いてきた。
「兄さん、失礼ですよ。」
「敵に失礼もねーだろ。」
「今は、教えを乞う立場です。」
「お前一人でやってろよ。」
鉛丹の物言いに、桔梗の表情が険しくなる。
鉛丹は引く気など微塵もなかったので睨み返す。
ちなみに琥珀に踏まれた足はまだ痛む。
それも鉛丹の不機嫌の原因だった。


