佳き日に





「メモリーズと?そのキップルとかいうゴミが?」

「メモリーズは、元々、そういうのが集まって生まれた奴らだ。」

「ごめん、ぜんっぜん分かんない。」

「だろうな。」

雪には呆れた様子もない。
初めから期待していなかったのだろう。

「選ばれなかった奴らって言うんだ、メモリーズは。」

「選ばれなかったって、何に?」

「さぁ?」

雪は相変わらず本から目を離さない。
パラパラと何枚かページを捲る。

「例えば、バニシングツインズとか。」

「あれってオカルトっぽい話だよね?生まれる前に皆双子で、でも結局生まれるのは一人だけっていう。」

「受精するときの、生きられなかった何千もの精子。」

指をおりながら雪は淡々と言う。

「使われないまま捨てられた、ホチキスの芯とか、折れたシャー芯。」

「小ちゃくなったね。」

「生まれることが出来なかった、未熟児。」

五つ。

「製品に不備が見つかって、陽の目を見ることがなかった何百もの新品の物。」

六つ。

ちょうど琥珀がメープルクッキーを三つ食べたところだった。