佳き日に




琴は大抵音楽を聞いている。
あと、たまになにか分厚い本を読んでいるみたいだが、琥珀が近づくといつも隠される。

聞いている音楽はどーせロックとかギターじゃんじゃんかき鳴らしてる煩いやつだろうと思ったけど違うらしい。

悔しいが、趣味は似てるみたいで好きなアーティストの話はけっこう弾む。
この前もそうだった。

「ねー琴この曲知ってる!?めっちゃいい曲だから聞いて!!」

「それ知ってるし。サビのところいいよな。」

「なんだ知ってたんだ。歌詞いいよね!!なんかっ!!こう、メラメラするよね!!」

「メラメラかどうかは知らないけどナイフ研ぎたくなる。」

「物騒!!」

琴はiPodを指で何回も触っては舌打ちを繰り返していた。
もう何年も使っているから反応が鈍いらしい。

「いい加減それ買い替えなよ。」

「買い替える金あったらナイフ買うし。」

「琴まじ物騒そんなんだからモテないんだよ。」

「琥珀に心配される程女には困ってないし。」

「はぁぁぁ!?なにそれちょっ、どーいうこと!?」

琴がモテるとかなにそれ世の中おかしい!!と騒ぐ琥珀とそれにうっせーしっ!!と騒ぐ琴。

つまりいつものように喧嘩になる。

その喧嘩は大抵後からやってくる雪か閏によって止められるのだ。