「待て。」
「はい?」
振り返ろうとしたら、ぐわっと肩を掴まれ、雪の方に引き寄せられた。
何だかよく分からないが、雪は琥珀の髪の毛をいじっているようだ。
数十秒ぐらいしたら、離してくれた。
「これを忘れていた。」
「?」
少し気になって、窓ガラスに映る自分の姿を見てみる。
髪にリボンがが結ばれてあった。
やっぱり、赤い色のリボン。
なんで赤ばかりなのだろう。
「じゃ、じゃあ、行ってきます。」
そう言って琥珀は建物の外へ出る。
初めて履くヒールの高い靴はいちいち音が鳴る上に歩きづらい。
もう、早く行って早く帰ろう。
琥珀はそう思い、人通りの多い駅へ続く道を歩いていった。