佳き日に


[3]



キリキリキリ、と耳障りな音がする。

換気扇が壊れているのだろうか。
人の声が微かに聞こえてきた。

4、5人だろうか。
足音を消して声の方へ近づく。
暗い場所、道の行き止まりに一つだけドアがあった。
この中にいるのだろう。

菘は音もなくドアの横に腰かける。

大丈夫だ。
計画は練りに練ったのだからきっと成功するはず。

菘はそう意気込むと、顔を伏せた。

カチャ、と音がする。
流れ込んでくる生温かい空気とは対照的に、上から降ってきた声はナイフのように鋭く冷え冷えとしていた。



「おい。お前、何者だ。」


今回のターゲットの声だった。

よし、と菘は心の中で呟く。
たっぷり三秒ほど無言を貫いてから、うっと少しうめき声を出す。

「・・・。」

無言のまま顔を上げれば、男が息を飲んだのが分かる。

涙の跡が残る菘の顔。
まぁ、目薬なのだが。