佳き日に





「何ですか、それ。」

「お前のトレーニングの予定だ。」

何てことないように雪はそう言うと紙に『ランニング30km』と書いた。

瞬間、琥珀は目を大きくして叫ぶ。

「無理です!!死にます私!!」

「何を根拠に。」

「30kmです!」

元々琥珀は運動が得意ではない。
マラソン大会ではいつもビリ争いをしていたようないわゆる運動オンチ。

30kmだなんて、走りきる前に死ぬ気がする。

琥珀の必死の抵抗に雪は不思議そうな顔だ。

「どうせお前は外に出られないから普通に走るよりは楽だぞ。」

「走る環境が問題じゃないんです!問題なのは距離!せめて5kmで!」

ちゃっかり走る距離を6分の1に縮めようとした琥珀を雪は呆れたような目で見る。


「30kmだ。」


雪の言葉はまるで死刑宣告だ。

口を開けて呆然としている琥珀はさらに追い打ちをかけられる。