佳き日に





「女子って、料理出来るもんじゃねぇの?」

琴がそう思ったまま口にすれば、柳琥珀はあきらかにムッとした顔をした。

「女の子だって料理出来ない子はいます。」

そう言い放って思い切り睨んできた。
メラッ、と琴の中の敵対心も燃え上がる。

柳琥珀の行動にもムカついたが、何よりもムカついたのは態度だ。
料理が出来ないことは別に悪いことじゃない。
だが、それでも少しは申し訳なさそうにするだろう。
悪いとちっとも思っていないような態度が一番腹立つ。

というか、ムカつくから一発殴らせろ。

琴の表情が絶対零度になっていることに気付いたのか、柳琥珀はバッと閏の後ろに隠れる。
その素早さといい、閏の後ろに縮こまっている様子といい、さながら小動物だ。

「琴、一般人の、しかも女性に暴力なんてやめてください。」

「問題ねぇし。そいつ女じゃない。」

はぁ!?と琥珀の怒った声が聞こえた。
だが閏の後ろから出てくる気配はない。

めんどくせーし、と琴はさらに機嫌が悪くなる。
大体、なんで閏はその女の味方なんだし、と聞こえないくらいの小さい声でもごもご言う。

閏はそんな二人の様子を見ると一つため息をついてひと際声をはりあげた。

「とりあえず、二人とも大人になってください!」

閏がヤケになってそう声をだしたのはかなり衝撃的だった。
普段あまり声を張り上げることのない閏なのにめずらしい。

というか、閏が怒っていること自体めずらしい。