終わりの見えない二人のやりとりに閏が頭をかかえたとき。


「おい。」

鶴の一声というのだろうか。
段ボールの開封作業をしていた雪のその一言で、三人が黙った。

喧嘩して、あんなに煩かった琴と琥珀でさえも黙った。

そのくらい、雪の声音には深刻さがあった。

「誰か、料理できるやつはいないのか?」

ダンボールから出てきたのであろう、甘口、と表記されたカレールーを持っている雪。
重大な問題が発生した。

今この部屋にいるメモリーズ三人と人間一人は、誰一人として料理が出来なかったのだ。