「それから火星付近を航行中の宇宙船でありますが、地球から火星へは、月に一度ずつ連絡船と貨物船が交互に出ております。その他にも地球や月面基地から不定期船が出ておりまして、調査したところ火星に最も近い宇宙船は、火星を発った船も火星に向かっている船も本日中には擦れ違う位置にあり、共に火星からは十五日の位置を現在航行しております」
「そこで共に同じ様な位置でありますので、火星に向かっている宇宙船のほうに可能な限り速度を上げて向かうように指示を出してはおりますが、目いっぱい航行速度を上げても到着までには、あと十二日前後は掛かる見通しであります。とりあえず到着次第、火星の状況を連絡してくる手筈にはなっております」
「あと小惑星帯往復中の調査船と、火星と地球間を航行中の宇宙船で小惑星群の観測ができそうな船を抽出して、観測を依頼する予定で準備をしている最中であります。まもなく抽出作業を完了し、数時間以内には指示できるものと考えております」
答えて補佐官は席に戻ったが、さすがに、この少ない限られた情報では、あと誰からも質問が出てこない。
会議場は、えたいの知れない不安と、重苦しい空気に包まれ静まり返ってしまった。
その時、ドアが開いて会議場の全員の視線がドアに注がれた。
そのドアから会議場に連絡員が二名、急ぎ足で入ってくると、一人が李に何かを伝え、伝え終えると、もう一人が用紙を李に見せながら説明している。
李は頷きながら聞いていたが、その顔は、先ほどまでの険しい表情に比べると、幾分ましになっているように見えた。
二人が去り、李が進み出て
「みなさん、ただいま知らせがあり数十ヶ所の火星入植地よりコードナンバーチェックの通信が入ってきており、現在も、その数は増え続けているとのことです」
会議場に少し安心感が広がった。
「そこで共に同じ様な位置でありますので、火星に向かっている宇宙船のほうに可能な限り速度を上げて向かうように指示を出してはおりますが、目いっぱい航行速度を上げても到着までには、あと十二日前後は掛かる見通しであります。とりあえず到着次第、火星の状況を連絡してくる手筈にはなっております」
「あと小惑星帯往復中の調査船と、火星と地球間を航行中の宇宙船で小惑星群の観測ができそうな船を抽出して、観測を依頼する予定で準備をしている最中であります。まもなく抽出作業を完了し、数時間以内には指示できるものと考えております」
答えて補佐官は席に戻ったが、さすがに、この少ない限られた情報では、あと誰からも質問が出てこない。
会議場は、えたいの知れない不安と、重苦しい空気に包まれ静まり返ってしまった。
その時、ドアが開いて会議場の全員の視線がドアに注がれた。
そのドアから会議場に連絡員が二名、急ぎ足で入ってくると、一人が李に何かを伝え、伝え終えると、もう一人が用紙を李に見せながら説明している。
李は頷きながら聞いていたが、その顔は、先ほどまでの険しい表情に比べると、幾分ましになっているように見えた。
二人が去り、李が進み出て
「みなさん、ただいま知らせがあり数十ヶ所の火星入植地よりコードナンバーチェックの通信が入ってきており、現在も、その数は増え続けているとのことです」
会議場に少し安心感が広がった。

