「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢

さまざまな仮説や憶測が飛び交い、全く混乱してしまっている。

直たちは、そのような地球本部の状況を知りうべくもなく、脱出作業を続けている。
マイクが直のところに来て

「チェックシートはありましたが、今までに派遣された調査隊も、特には点検整備を行なっている様子は全く無く、記入はありませんでした」

ということは、今までにステーションで滞在した調査隊も、事故など起きないであろうと安心していて、恐らく点検整備など行なっていないのであろう。

ならば致し方がない、急いですべての項目の点検を行なうように指示をした。

食料から始まり、ほとんどの必要な物資を脱出用宇宙船に運び終え、直が宇宙船内で作業をしている技師やパイロットに点検状況を問うと、間もなく終了すると返答があった。

タイムリミットまでには、まだ十数時間あり、どうやら充分に時間が残されていると、やや安堵したものの、試運転を行ってみて正常に作動するか確認できるまでは、まだまだ安心はできない。

二時間後、試運転を開始した。

直はステーションが、すべて機能不全になっているのに、一度も試運転をしていない、それどころか点検さえ行なわれていなかった宇宙船が動く気がせず、非常に不安であった。

しかし、スイッチを入れるとエンジンは点火し、誰もが喜び、安心したのも束の間、点火後すぐにダウンしてしまう。

何度、繰り返しても同じである。