「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢

「ステーションのコンピューター内に入力されている点検リストを見るのは、機能不全で不可能です。しかし、これまでに脱出用宇宙船の部分点検や整備などを行なっていれば、チェックシートが宇宙船内にある筈です」

「作業に入る前に、まずそれを探して、いつ、どの程度の点検や整備がされているかチェックして下さい。問題があれば何らかの記入がある筈です」

と言い終えると、食料庫へ向かった。

エウロパ・ステーションが機能不全になってから数時間ほど後に、ステーションとのドッキング準備を開始しようとしていた調査隊が小惑星のような物体を発見し、地球本部へ連絡を入れた。

しかし、その連絡を最後に通信が途絶えてしまい、これで消息不明船は五隻となってしまった。
地球本部は、このことを直たちのステーションに伝えようと何度も連絡をするが、ステーションからの応答は無い。

ついにはエウロパ・ステーションとも通信不能に陥ってしまったのであるが、ステーション自体は静止軌道にあるので、破壊されていない限りは存在する筈であり、行方不明には、なっていないと思われるが、破壊されている事も考えられなくは無い。

いったい、どうなっているのか、訳が分からずに地球本部も混乱している。

またもや小惑星が調査船やステーションを破壊したのだろうか。

またもやと言っても小惑星らしき物体の目撃情報が、二隻の調査船からあっただけであり、すべての行方不明船に関与しているとは断定できない。

それに、すべてに関与しているとすれば、一個の小惑星では不可能であろう。

あちらこちらから多数の小惑星が飛来しているとすれば、まだ可能性があるが、これまでの観測史上から考慮して、ほとんど考えられないくらい確率は低いものと思われる。