「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢

エウロパ・ステーションの隊長は直である。

ただちに捜索を始め、タイタン調査船が進んでいると思われる付近の宇宙空間観測を開始したが、見つからない。

宇宙空間で行方不明になった宇宙船を見つけ出すというのは、サハラ砂漠上空を飛んでいた飛行機から指輪を落とし、後に地上から探しに行くようなものであり、簡単ではない。

それでも、とにかく発見しようと、エウロパ・ステーションの搭乗員たちも力を尽くしていた。まもなくエウロパ・ステーションに到着する調査隊や火星基地や地球とも連絡を取り合いながら探すのであるが見つからない。

懸命に捜索の努力をするが、見つからないまま交代の調査隊が到着するまで、あと二日となり、近づきつつある調査隊からエウロパ・ステーションに、今から十時間後よりドッキング準備に入るとの連絡がきたので、エウロパ・ステーションの搭乗員も了解し、ドッキング受け入れの用意を開始することとした。

ところが受け入れ準備を開始しようとしたところ、突然にステーションの全機能が停止してしまい、一瞬にしてステーション内は非常灯のみとなり暗くなってしまった。

ステーションの乗員に緊張が走り、顔の表情が変わったのが、暗い中でも感じ取れる。
直は瞬間的に四隻の消息を絶った調査船の事が脳裏に浮かび、彼らと同様の事態に陥ったのではないかと直感した。

直は、すぐさま全員を呼び集めた。

乗員は、日本人が直以外にパイロットと技師、南アフリカ人の技師と学者、ドイツ人のパイロットと医師であり、それぞれが直の指示のもと、瞬時に原因究明に当たり、同時に直は通信装置が機能するか試してみた。