「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢

人々の期待を乗せた宇宙船の航海は、水泡と帰してしまった。

大航海時代の幕開けであった筈の三隻の宇宙船は、漆黒の闇の中、悲しみのうちに宇宙という深海に沈んでいった・・・

空虚なティタニア号消息不明の会見発表が終了し、世界中が三日間の喪に服した後、地球連合本部では、今回の一連の事故は宇宙開発機構だけの問題では済まされないと判断し、今後の宇宙開発を進める方向や宇宙開発機構のあり方にメスを入れようと、全体会議を招集した。

会議は、その年の末に始まり、一ヵ月後の翌年の一月末までには結論を出そうと進められた。

そして、その会議の結論を決定しようとしていた一月の最終週に、追い討ちを掛ける悲劇が起こってしまったのである。

それは、木星軌道近くまで帰還していたタイタン調査隊が消息不明になったのである。

すぐさま宇宙開発機構は地球へ向かって進んでいる筈のタイタン調査船を発見するべく、地球の全天文台と火星基地や月面基地にも捜索を依頼した。

ただし、これまで宇宙開発機構は小惑星の発見に全力を傾けていたが、未だに発見できないでいたので、小惑星の発見が重要であると考えている彼らは、月や地球の宇宙ステーションと天文観測衛星だけは、そのまま小惑星を発見しようと観測を継続したのである。

翌日、あと五日もすれば交代の調査隊が到着する予定のエウロパ観測宇宙ステーションにもタイタン調査船の捜索依頼がきた。

勿論、エウロパ・ステーションに向かって来ている交代要員を乗せた調査船にも捜索依頼は届いている。