「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢

とうに酸素は無くなっているであろうから絶望的な状況である。前日、簡単な状況説明は速報として行なっているが、そろそろ記者会見を開き正式に発表しなければならない。

その日の夕刻、本部の責任者や科学者が会見場に姿を現し、トリトン号が消息不明となった報告を開始した。

出席している全員が沈痛な面持ちであり、非常に重苦しく息の詰まる会見となった。

会見発表を聞く記者たちの胸も痛み、速報が出された時点で予想されていた事とはいえ、耐えようの無い悲しみと無念さに支配される会見場であった。

報告が終わり、記者たちが不明になった原因や、本部は、どう対応を取ったのか、また乗員の命が助かる見込みは、完全に閉ざされてしまったのかなど、次々と質問をするが、乗員の殉死以外は、まともに答えられない。

復旧させる試みも何度も行なわれたのだが成功せず、何の結果も得られなかった。

原因は不明であり、具体的に復旧や救出させる手立ても見つからなかった。

ただ原因のひとつに小惑星の可能性があり、現在、小惑星を見つけ出そうと、総力をあげて観測中であると伝えた。

さらに記者たちは、船体に問題は無かったのか、残されたティタニア号は、現在のままで大丈夫かなどと質問を浴びせる。

船体は、それまでに使用されている調査船と基本的に同一の船体であり、今までに特に大きな事故も無く、船体自体に問題があったとは考えられない。

またティタニア号は大丈夫と判断され現在も天王星への航海は継続中であると返答したのだが、記者たちは、ティタニア号は地球へ帰還させた方が良いのではないかとか、もっと、さまざまな角度から熟考し、検討するべきではないかと意見が相次いだ・・・