「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢

「ティタニア号より地球本部へ、現在、カロン号との通信が途絶え、通信不能状態になっております。普段通りに定期通信を開始しましたが、カロン号からの応答がありません。異常事態が発生したものと考えられます。どうぞ」

地球の本部は驚天動地である。

ここのところ、長い間、大きな事故も無く、その上ここまで三隻とも順調な航海を続けており、計画通りに進んでいたこともあり、気楽に構えていた感もあるが、とにかく慌てて科学者や技術者たちを招集した。

「地球本部よりティタニア号ならびにトリトン号へ、ただいまよりカロン号との通信を試みてみます。現在より両船は、通信を控えるようにお願いします。どうぞ」

と送信後、カロン号の呼び出しを開始する。
本部からは何度も繰り返しカロン号を呼び出すのだが、まるで応答が無い。

カロン号では、諦めずに懸命に復旧作業を行なっていたが、機能が回復せず、当然通信装置も機能不全であり、通信は通じない。

本部から、遠隔操作で復旧を試みるものの、カロン号のコンピューター自体がダウンしているのだから、どうしようもない。

いかに優秀な科学者や技術者といえども手の打ちようが無かった。

もし全機能が停止しているとすれば時間は限られている。機能停止後、二日以上が経過すると酸素が無くなり乗員の命は絶望である。

本部の全員が焦燥感にかられるが、打つ手が見つからないまま時間だけが過ぎてゆく・・・