「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢

ロバートが、その会話の輪に加わろうと立ち上がった瞬間、突然、宇宙船の灯りが消え、すべての電力がダウンした。

いったい何が起こったのか。
早く復旧しないと命にかかわる。

ロバートは、すぐに全員を操縦席に呼び集めると、二人の技師にエンジンルームと機械室と気圧調整室、二人の学者と医師に医務室、食糧貯蔵室、栽培室と各個室を、パイロット二人で残りの操縦室とリビングとトレーニング室の点検を指示した。

おのおのが非常用の電灯を手に持ち、急いで持ち場の点検に就いた。

船内は非常用の灯りのみで薄暗く、手持ちの電灯で照らさないと移動もできない。

幸い乗員はロバートの指示通り機敏に行動し、パニックには陥っていないものの、早く原因を突き止めて電力を回復させなければ、船内の酸素は予備タンクを開放しても四十八時間が限度である。

数時間、点検したが、原因は発見できない。

少しずつ不安と焦りが乗員たちに生まれてくる。
その時、ホセがロバートの所に来て

「緊急通信を地球へ発信しましょうか」

と訊いてきたが、ロバートは、そんな事をしても電池残量が少なくなってきて、よけいに苦境に陥るだけだから発信しないように言い、とにかく原因究明を優先するように命じた。

電池が無くなってしまうと、エンジンの再始動も不可能になってしまうのだ。そうなれば万事休すであり、死が待つのみである。