「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢

「ジェスール、僕も時々、君と同じような気持ちになるよ・・・」

「本当に長く苦しい航海だが君たちクルーが頼りだ。がんばってくれ。幸いに、こうして僚船とも会話できるし、地球との交信の時には家族のメッセージも届けてくれる。将来の希望と成功を夢見て気持ちをつないでくれ」

二人の会話が聞こえていた、隣の操縦席のブラジル人パイロット、ホセは操縦桿を握りしめ、前を見たまま故郷のリオデジャネイロの風景と家族を思い出していた。

宇宙船には乗員それぞれに七つの個室と操縦室、リビング、トレーニング室、野菜などの栽培室、食糧貯蔵室、医務室、機械室、船外へ出るときの気圧調整室などがある。

前夜、当直で、まだ眠っているブラジル人技師を除いた三人がトレーニング室で、先ほどティタニア号から届いたヨーガの続編を見ながら、何やら、わいわいやっている。

突然、アメリカ人学者のスーザンがトレーニング室から出てきて、操縦席で話をしていたロバートとジェスールの所に来た。

「ねえ、こんなにきつい体勢、できないわよ。ドクター・ケニーは体に良いから辛抱しろって言うけど、とてもじゃないけど関節が痛い。ねえ見てよこれ」

と言って、写真の添付されている説明を二人に見せた。

ジェスールは、それを見て
「本当だ。きつそう・・・」

その後ろから、スーザンを追いかけて来たケニーが来て

「これがいいのよ、これが。これこそがインド八千年の知恵なのよ」

と訳の分かるような、分からないようなことを言う。