「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢

男性が話すには、地球連合本部で日本の笹田全権と、よく会話をするそうで、たまに一緒に家族で食事に行ったりもするらしい。

その時に笹田全権の奥さんが話をしている日本語を聞いたり、自分も簡単な日本語を教えてもらったりするので、何となくではあるが分かるそうである。

直の横で座っていて、由紀たち三人の会話が耳に入り、日本人だと気づいたらしい。

彼は
「ここまで来るのは遠かったでしょう」
と言い、自己紹介を始めた。

彼の名は、ジェラルディーン、アメリカ合衆国全権であると直に告げ、聞いた直は少し、びっくりした。

地球連合の全権といえば、その国のナンバースリーであり、アメリカでいうと大統領、副大統領に次ぐ地位であり、簡単に、お目にかかれる人ではない。

直が後ろを振り向いて見ると、警護官が二名立っている。おそらく部屋から出た通路にも立っているのだろう。

直も自己紹介をして、父が月で訓練中に事故死をした事、その後、宇宙船発射のイベントに何度か招待されているが、見学に訪れたのは今回が初めてであり、自分は学者で、エウロパの宇宙ステーションの搭乗員に選ばれた事などを話して、由紀や理絵も紹介した。

それを聞いたジェラルディーンは、同じ事故で死んだアメリカ人がいたこともあり、事故の事を覚えていて、父の宏のことを、惜しい人を亡くしたと大変残念がり、直が宏の後を継ぐようにエウロパへ派遣される事を喜んでくれた。

話をしている間にカウントダウンは進み、残り三十秒になっている。