「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢

どうやら家族四人、遅れて着いてしまったようである。

パフォーマンスが終了し、宇宙飛行士たちが、宇宙船に乗り込もうとしているところがスクリーンに映し出された。

宇宙飛行士たちは手を振りながら乗り込んでゆく。そして、その映像を見ている、観客席からは拍手や大歓声が沸き起こっている。

彼らにも、この拍手や歓声が届いているであろうか。

彼らが乗り込み終えると、今回、飛び立つ宇宙飛行士たちの経歴などの紹介がスクリーンに流れ始めた。今回の調査隊のメンバーはブラジル人二名、トルコ人二名、アメリカ人三名であり、隊長はアメリカ人のロバートである。

先ほど終了したパフォーマンスは彼らの出身母国だったのだ。

ブラジル人は技師とパイロット、トルコ人は技師と学者、アメリカ人はパイロットと学者と医師である。隊長のロバートはパイロットであった。

飛行士たちの紹介が終わると、時刻は十一時二十分になっていて、会場に今後の飛行予定や行動計画の説明が流れ、十一時三十五分よりカウントダウンを始めるとアナウンスがあった。

アナウンスがあって数十秒後にカウントダウンが流れ始め、テンミニッツから始まり、ナイン・ヒフティ、ナイン・フォティと十秒ごとにカウントが進んでゆく。

その時、直の隣に座っている遅れて来た男性が

「日本から来たのですか」
と問いかけてきたので、直は

「そうです。よく分かりますね」
と返事をした。